こんにちは。子供と読める踏切知識の本を探しているふるやなです。

踏切好きの人が書いた本があると聞いて早速読んでみました。


タイトルからして踏切のにおいがしますね!

どんな内容だったのか、感想を書きます。

「踏切みやげ」を読んだ感想

著者の石田千さんは、踏切の風情が好きなんだろうな、とひしひしと感じる本でした。

同じ著者で「踏切趣味」という本もあるので、てっきり鉄道好きな男の人の書いた本だと思って読み始めたんです。
 

すると、予想外のふわんとした読み口。

踏切じたいをどうこう語るわけではないんですね。

踏切よりも、踏切に至るまでの出来事や感覚だったり、踏切周りの花、人の姿、会話、看板などが描かれます。
 

踏切は場所に過ぎなくて、踏切周りの情景や空気感、その時の自分の感覚を描いているというか。

昭和っぽい、下町っぽい雰囲気が、リアルな空気感として伝わってきます。

ありそう、あるある、みたいな感じです。

特に電車好きの男の子を見かけたくだり。

みぎの坂の金網ごしに、すすきが群れている。うえのほうで、男の子とおかあさんが、駅のホームをながめている。
 早く逃げないと、ひかれちゃうよ。男の子は、踏切を渡っていくひとを気にする。おかあさんは、踏切しまってないから、まだ発車しないよ。これ見たら帰ろう、約束よという。男の子はうわのそらで、ヤクショクといった。
 踏切が締まり、ふたりは、くるぞーくるぞーと金網にしがみついた。高尾行のオレンジの列車が、だんだんと早くなっていき、またしゃ断桿があがる。男の子は、動かない。
だって、スーパーがくるもん。足をふんばる。
 約束したじゃない、かえってサッカーしようよ、おやつにしよう。いつくるかわからないもん、夜になっちゃうよ、帰れなくなるよ。根気づよく説得して、ふっつりとぎれる。
 おかあさんは、ひと息のすきを逃さず脇がかえにして、自転車のうしろに乗せようとした。男の子は、いやっとしゃがみこむ。マフラーを巻いた首は、ずっと線路のほうにねじれていた。
「踏切みやげ」

あるある!よくある!私だったのかも?(笑)

 

著者の石田千さんは、雑誌で『本に書いてある踏切を見に行く』というコーナーを任され、何度か行くうちに、踏切が趣味になったそうです。

踏切が好きだし、散歩したり旅先でも踏切に行ってみたりする。

でも、だからといって踏切に詳しくなるわけでも、踏切の蘊蓄を語るわけでもない。

ふわふわと散歩している気分を一緒に楽しめる、趣味のエッセイなんだと思って読めば納得です。

子供向け?踏切好きの子どもの反応は?

という訳で、子供向けではありません。

数ページに1枚くらいの感覚で、小さなモノクロの踏切写真があります。

子供はその小さな挿絵写真にくいついて

 

「ふみきりの本だー」と喜んでいました。

 

でも、ぱらぱら最後までめくると飽きてしまったようです。

びっしりとした文章ばっかりですものね。

 

踏切知識を求めていた私としては、踏切の会社に行ったくだりが面白かったです。

この「踏切みやげ」よりも前に出版されたのが「踏切趣味」。

同じような感じの雰囲気ですが、「踏切みやげ」よりも踏切濃度は薄めです。

最後に

ふわっとした独特の語り口は、好みがわかれると思います。

ふるやな的には散歩したり、買い食いしたい気分になりました。

子供と踏切を見に行かないといけない、なんて時に事前に読んでおくと、目線が変わってよさそうです。

 

出てくる踏切は主に東京近郊です。

下町歩きの気分を著者と一緒に楽しめる感じでした。

その他、旅先の新潟、京都、鳥取島根、弘前なども出てきます。