こんにちは、ふるやなです。
マンダラ塗り絵を調べていくにつれ、
本物の仏教の曼荼羅ってどんな色なんだろう?
どんな思いで塗ってるんだろう?
という疑問がわいてきました。
調べ始めると、仏教用語がたくさん出てきてよくわからない!
私、全然仏教に詳しくないのです。
それでもマンダラ塗り絵がもっと面白くなるなら・・・と思い、頑張って読み解きました。
曼荼羅に使われている色と、その意味について調べたことをざっくりまとめていきたいと思います。
もくじ
本物の曼荼羅(マンダラ)の色って?
本物の曼荼羅に使われている色は白、赤、黄、黒、青、緑、紅、黄色、縹(はなだ)、紫の10色です。
ここでいう「紫」は私達がイメージする紫ではなくて、黒と赤を混ぜた色のことを指します。
さらに、装飾性を高めるために、金色や銀色が使われることもよくあります。
宗教的に霊性とか聖なる感じを表現しようとしたんですね。
キリスト教の絵画とかでも後光が金色だったりしますし、金銀の使われ方はなんとなくわかる感じです。
仏教、とくに密教では、色には意味があります。
一つの色には何種類かの意味付けがされています。
色のイメージによる連想ゲームみたいだな、という感想です。
曼荼羅における色の意味
曼荼羅に使われる色は白、赤、黄、黒、青、緑、紅、黄色、縹(はなだ)、紫 の10色でしたね。
この中で白、赤、黄、黒、青の五色(ごしき)を「正色(せいしき)」といいます。
五正色(ごしょうじき)、五大色(しき)ともいわれます。
それぞれ白(びゃく)、赤(しゃく)、黄(おう)、黒(こく)、青(しょう)と読みます。
緑、紅、黄色、縹(はなだ)、紫は「間色(かんしき)」といいます。
とりあえず間色はおいといて、重要とされる正色の意味だけをみていきますね。
間色の意味については調べても資料がなくて、よくわからなかったので。
曼荼羅の色の意味 その1:五大
五大とは、仏教用語で宇宙を構成している要素5個のことです。
五大の内容は、地・水・日・風・空。
五大
ごだい
pañca mahābhūtāni
インドにおいて物質を構成する主要な要素と考えられた5元素をいう。地大,水大,火大,風大,空大の5つをさす。サーンキヤ学派では,自我意識から生み出される5つの対象領域の微細な要素から5元素が生じると考えられた。バイシェーシカ学派では,6つの原理を立てるうちの第1の原理である実体のなかに収められ,われわれが直接知覚できないものと考えられた。仏教においては,これらの5元素は究極的には否定されるが,諸要素の実在を認める学派 (→説一切有部 ) によって肯定されている。密教ではこれらの5元素を哲学的形而上学的にとらえ,識と合せて,この6つが宇宙を構成する要素であるとする。五輪の塔はこの思想に基づく。 (→四大 )ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
水・火・地・風・空、と聞いてどんな色のイメージがわきますか?
仏教での答えはこちら。
水=白
火=赤
地=黄
風=黒
空=青
水が白!?青じゃなくて?
風が黒??
空が青くて火が赤いのは納得できるとしても。
その他はなんで?
ちょっともやもやしますね。
「曼荼羅の世界とデザイン」にそって、解説を見ていきましょう。
5色のうちでは、無色透明な水にいちばんふさわしいのは白。
黄色は、インドの大地の色からの連想。
風が黒なのは、突風に襲われて目を閉じた瞬間、暗闇につつまれたようになる連想から。
そういわれてみれば、なんとなくイメージはできるような。
曼荼羅の色の意味 その2:五根(ごこん)
五根とは、仏教用語で悟りに至るための五つの作用のことです。
五根
ごこん仏教用語。サンスクリット語のパンチャ・インドリヤpaca-indriyaの意訳。
(1)根(インドリヤ)とは仏教で感覚器官またはその機能のことで、眼根(げんこん)(視覚)、耳(に)根(聴覚)、鼻根(嗅覚(きゅうかく))、舌根(味覚)、身根(触覚)の五つをいう。これに意根(心)を加えると六根となる。五根はそれぞれ外界の対象をとらえて、心の中に認識作用をおこさせる。
(2)信根(信ずること)、勤(ごん)根(努力)、念根(記憶)、定(じょう)根(精神統一)、慧(え)根(知恵)の五つをいう。これらは悟りの境地を得るために優れた働きがあるので根という。[池田練太郎]日本大百科全書(ニッポニカ)
五根は信(しん)・精進(しょうじん)(勤(ごん))・念(ねん)・定(じょう)・慧(え)の5つです。
これを5色に対応させていて、
白=信色
赤=勤色
黄=念色
青=定色
黒=慧色
としています。
曼荼羅の色の意味 その3:五智(ごち)
密教では、大日如来の教えを5つにわけています。
五智
ごち
pañca jñānāni
密教で大日如来の智を5種に分けて説いたもの。 (1) 究極的実在それ自身である智 (法界体性智) ,(2) 鏡のようにあらゆる姿を照し出す智 (→大円鏡智 ) ,(3) 自他の平等を体現する智 (→平等性智 ) ,(4) あらゆるあり方を沈思熟慮する智 (妙観察智) ,(5) なすべきことをなしとげる智 (→成所作智 ) の5つ。これらは唯識説系統の経論にも説かれるが,その場合は五法 pañca dharmaと呼ぶ。ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
白=法界体性智(ほっかいたいしょうち)
赤=大円鏡智
黄=平等性智
黒=成所作智
青=妙観察智
曼荼羅の色の意味 その4:五仏
五色をほとけにあてはめることもあります。
白=大日如来(だいにちにょらい)
赤=法幢如来(ほうどうにょらい)
黄=開敷華王如来(かいふげおうにょらい)
黒=天鼓雷音如来(てんくらいおんにょらい)
青=無量寿如来(むりょうじゅにょらい)
曼荼羅の色の意味 その5:方位
5色を方位にあてはめることもあります。
白=西方
赤=南方
黄=中央
黒=北方
青=東方
ただ、これには異説があります。
曼荼羅の色の意味 その6:四種
密教では、ほとけに対して祈願をする時に、土で「壇」をつくります。
日本では木でつくられることが多いです。
この修法の際に使う「壇」には4種類あります。(四種法)
四種の内容は、息災・増益(ぞうやく)・敬愛・調伏(調伏)。
それぞれの色は
白=息災
赤=敬愛
黄=増益(ぞうやく)
黒・青=敬愛・調伏(調伏)
まとめ
本物の曼荼羅に使われる色は白、赤、黄、黒、青、緑、紅、黄色、縹(はなだ)、紫の10色です。
装飾性を高めるために金・銀が使われることも多いです。
この10色のうち、白、赤、黄、黒、青の5色を正色と呼びます。
正色はいろいろな意味付けがされており、主要なところでは6通りの意味があります。
五大、五根(ごこん)、五智(ごち)、五仏、方位、四種の6通りです。
白=水、信、法界体性智、大日如来、西方、息災
赤=火、勤、大円鏡智、法幢如来、南方、敬愛
黄=地、念、平等性智、開敷華王如来、中央、増益
黒=風、定、成所作智、天鼓雷音如来、北方、敬愛・調伏(調伏)
青=空、慧、妙観察智、無量寿如来、東方、敬愛・調伏(調伏)
5つの要素はそれぞれ順番があったりするそうなのですが、今回は色の並びにあわせて統一しました。
なんだか仏教用語が並んで、頭がくらくらします(笑)
でもこうしてまとめてみると、仏教、特に密教の色の意味のイメージはなんとなくわかるような気もしてきます。
マンダラ塗り絵を塗る時に、こっそり裏テーマにしても面白いかもしれませんね!
参考文献・参考サイト
- 『地域計画特論(11)曼荼羅の世界観(ユングと密教の統合)』2005年
- 日本大百科全書(ニッポニカ)
- ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
- SOLARIS WORKS: http://www12.plala.or.jp/solaris_works/reports_004.html
- 高野山真言宗 護国之寺: http://www.ne.jp/asahi/gifu/gokokushiji/gokokushijiHP-TOP.index.html